一般に尿の検査としてよく知られているものは、尿糖、尿中ケトン、尿タンパク、尿潜血等があります。尿糖、尿中ケトンは糖尿病の検診に欠かせないものです。尿タンパクは腎炎やネフローゼ等の腎臓病の検診に重要な検査です。尿潜血は尿中のヘモグロビンを検出するもので血尿の有無がわかります。これらは試験紙で簡単に迅速に調べられます。患者さんにとっては採尿するだけの手間で多くの情報が得られますので一次スクリーニングとしてとても有用です。

　次に尿沈渣についてですが、これは尿中のいろんな有形成分を顕微鏡で調べる検査です。
尿中には生体由来の有機物としては赤血球（血尿）や白血球（膿尿）、上皮細胞、円柱などがあります。生体由来の無機物としては結晶がみられます。外界からの微生物としては細菌、真菌、原虫などがあります。これらの尿中に存在する物質を観察することにより試験紙ではわからなかった詳細な情報が得られます。血尿が見られるときには腎炎などの腎臓病や腎臓下垂、結石、腫瘍などをうたがって検査をすすめます。 膿尿や細菌尿が見られるときには腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎などをうたがいます。結石の患者さんにとっては尿中の結晶を調べることが結石の溶解や再発予防にきわめて有用です。これらには充分な知識と経験、熟練した技術が必要です。

　このほか尿からは多くの情報が簡単に得られます。皆さんも機会があれば積極的に尿検査をうけるようにしましょう。